映画村でDS

ミュージアムメディア事業部は、
2010年3月にサービスインした
「映画村でDS」にも関わっていますので
どんなサービスなのか少しご紹介します。


「映画村でDS」は、東映太秦映画村で、ニンテンドーゾーンを使ったガイドサービスと
ゲームサービスの運用です。
DSを持って行くだけでゲームを楽しむことができます。

東映ならではの豪華なキャストとニンテンドーゾーン
位置情報を使った実写時代劇、以下ちらみせ画像です。







映画村は広い屋外パークですが、エリアごとに違う悪人キャラが登場して
無理難題のゲームをいどんできます。
ゲームに勝つと、悪い奴らを斬りまくれます。
どのキャラも悪いんだけど、愛すべきかわいさも持っています。
キメの表情やアクションを繰り広げる役者さん達の演技がステキです。


DSで案内してくれるのは福本清三さんは超有名な切られ役です。



英語、中国語、韓国語のゲームはないのですが、ガイドはあるので、
外国の方と一緒に映画村でDSで楽しんでください。


少し前ですが、映画村でDSがはてなで記事になっていました。


http://b.hatena.ne.jp/articles/201004/1098





この仕事で醍醐味は、撮影所に潜入できたこと!!
役者さんたちが演技しているところを間近で見ると、
そのテンションの高さとプロの仕事っぷりに、ほれぼれします。
福本清三さんは特に格好良いです。



余談ですが、映画村では「水戸黄門」が撮影されるのですが
由美かおるさん、今シーズンで見納めらしいですね。
先日、映画村のパークのほうで撮影中の由美かおるさんを見て
あまりの美貌オーラに腰を抜かしかけました。
すごい人です。。。



余談ですが、同じ時期に、「仮面ライダーW」の撮影も見ることができました。
同じく公開されているパーク内で、ライダースーツとバイク、格好良かったです。



さらに余談ですが、観月ありささんが出ていた「鬼龍院花子の生涯」も
映画村で公開撮影していて、観月さんの顔があまりにも小さくてびっくりしました。
後で自分の顔をみたら大きくてまたびっくり。 (まぁこれは大きさだけの問題ではない)




なんか余談ばっかりになってしまいましたがこうやってウロウロしていると
撮影シーンに出会える、面白い場所なのです、映画村は!

イラスト地図をつかった地域活性のために 木津川市実験

わたしの会社のある関西学研都市をGoogleMapsでみると
なんと、さみしいことに、ほとんど見所がのっていません。
近くに、幻の都、恭仁京跡(くにきょうあと)や
名宝三寺、海住山寺岩船寺浄瑠璃寺など
見所はたくさんあるのですが、なかなか初見では
みつけられないです。



初めて地域に来た観光客を、迎えるのに最強の地図は、
地域らしさを前面にだしたわかりやすい、
無料で配られている地域のイラスト地図です。



2009年度の後半、若干駆け足でしたが、
「地域イラスト地図利活用協議会」を以下のメンバで3回開催しました。
(協議会メンバ)木津川市木津川市観光協会京都府
(オブザーバ)国立国会図書館関西館
(主催)(株)ATR,(株)ATR-Promotions



木津川市の、地域イラスト地図を活用した
携帯端末向けアプリの制作に取り組みました。








実際に木津川市内の主に加茂町付近を、このアプリで歩いたのですが、
紙を補完する可能性を感じることができました。
このようなアプリをつくることは、どの自治体でも可能です。
コンテンツは既存のイラスト地図データを使うだけなので
無理なく無駄なく、全国に広げることができます。


2008年度のユビキタス特区でテスト運用した
東映太秦映画村のイラスト地図上での現在地情報付き
テーマパーク内を巡るのが、大変好評だったのですが
これはそのiPhoneアプリ版ということで
ますます手軽に紙とGPSを融合させたサービスに発展しそうです。

ubiNEXT  リンク先

■2005年-2006年 ubiNEXT(ユビネクスト)に関する論文、出版物、サイト、ニュース記事など



JSAI2005: ubiNEXT:自由選択学習を支援する展示ガイドシステム
概要, ubiNEXTは、展示場の各見学者が携帯するPDAを通じて、個人の関心に基づいた自由な展示見学ができるようにデザインされた学習支援 ... 本発表ではubiNEXTの技術設計や学習支援デザインの説明と、京大博物館で行った実証実験の結果について報告する。
http://www-kasm.nii.ac.jp/jsai2005/schedule/pdf/000029.pdf
英語のアブストラク
http://sciencelinks.jp/j-east/article/200517/000020051705A0661126.php 


ATRメディア情報科学研究所 認知メディア情報学研究室時代のWebサイト
http://www.mis.atr.jp/past/cmi/museum_j.html
http://results.atr.jp/atrj/ATRJ_52/16/abstract.html


京大博物館 IT 化、PDA&無線 LAN のガイドシステムを実験 japan.internet.com (2004.12.01)
http://japan.internet.com/allnet/20041201/4.html


文環研:Journal〜ジャーナル〜
ミュージアムでの学習体験を支援する展示ガイドシステム‐ubiNEXT‐益岡 あや. 国際電気通信基礎技術研究所で開発した博物館向けの展示ガイドシステム「ubiNEXT(ユビネクスト)」の紹介です。 (2005.9.4)
http://www.bunkanken.com/journal/article.php?id=271


ATR プレスリリース
特別展「みんぱくキッズワールド〜おとなとこどもをつなぐもの」
における携帯端末を利用した展示ガイドシステムの公開実験(2006.4)
http://www.atr.co.jp/html/topics/press_060420_j.html


オランダVan Abbe Museumでの実験について書いた論文(英語)
An Electronic Museum Guide in Real Use. Psychology of Aesthetics, Creativity, and the Arts, 1(2), 114-120
http://www.bartneck.de/publications/2007/museumGuideInRealUse/index.html

博物館ガイドシステム ubiNEXT まとめ

●概要
ミュージアムガイドシステム、「ミュージアムメディア」の前身は、ATRメディア情報科学研究所で研究開発されていたubiNEXT(ユビネクスト・ゆびネクスト)というミュージアム ガイドシステムです。研究期間が終了し、事業部門で成果を引き継ぎました。研究期間終了と同時に、Webページも散逸していたのですが、こちらでこれまでのプレス発表や記事、論文関係をまとめておきます。




■ubiNEXT 2005年〜2006年頃に開発
まだWebサイトでも「タグ」があまり普及していない2005年頃、ubiNEXTは「タグ」や「推薦」機能を搭載したガイドシステムとしてデザインされました。ビジターは、タグで関連づけられた展示物を推薦され、興味のあるものをタグの視点で解説されます。
従来の「順路」や、はじまりとおわりのストーリーが前提の博物館にとっては、自分の興味に従って、自由に博物館の中を順路関係なく巡れるガイドシステムは、「ナニ?音声ガイドと全然違う・・・」と思われていました。

Web的な「タグ」や「推薦」を使った新しいガイドシステムの実験に協力してくれたのが、京都大学総合博物館、オランダVan Abbe Museumでした。(機会を与えてもらえたことに、とても感謝しています。)


■ubiNEXTはFree Choice Learningに基づいたデザイン
ubiNEXTは、Web志向ですが、それだけではなく、博物館学で重要とされる"Free Choice Learning"(自由選択学習と自訳してます)を背景にしています。Free Choice Learningでは、ビジターの日常生活の中で興味を持っている事柄、たとえば本屋で買ったあの本、前の資料館で興味を持ったあの展示物、テレビを見ていて気になったアイテム、など、すべてのファクターが、博物館体験を高めるのに大切なことなのです。また、個人的な体験、ソーシャルな体験、事前の予期、追体験、なども重要です。

日常的に気になっているアレコレに基づいて、博物館の展示物の解説内容が変わったら面白い。さらに、展示物を巡る順路も変わる体験ができれば、日常と博物館体験を結ぶことができるのでは?という考えを実現するための、「タグ」や「推薦」機能だったのです。


■ubiNEXTの実証実験
自分の興味のあるタグで展示物を見ると、そのタグの切り口でクイズを体験できるガイドシステムを、京大博物館とVanAbbeで実験したubiNEXTで実現しました。京大博物館では、我々主体の実験だったため、タグの大半は自分たちで作ることになり、学芸員の資格をもつ同僚と四苦八苦タグをつけました。正直コンテンツは、それほど面白くなかったと思います。しかし、来館者は京大生や京大関係者がほとんどでしたので、リピータが現れるほどシステムそのものを面白がって使って貰えました。Van Abbeでは、学芸員がタグづけをしてくれて、ロシアアバンギャルド芸術を、当時の政治思想などの切り口で回ることができ、かなり面白いコンテンツになっていました。実験に参加してくれたのは、子供から年配者でしたが、アートそのものに関心のたかい年配の方からの評価が良かったです。
京大では現地で協力をお願いした百数十人、オランダでは授業の一環として使ってもらうなどして、かなりのデータをとることができました。


■その後のミュージアムメディア 2007年〜
ubiNEXTは今は終了していますが、精神とサービスは現在のミュージアムメディアhttp://www.atr-p.com/mm/project_j.htmlに引き継がれています。



オランダのテレビニュースで紹介されたubiNEXT


京都大学総合博物館のubiNEXT

Australian Museumウェブサイトでタグをつけたりするマイページが持てる

オーストラリア博物館(Australian Museum)のWebサイトhttp://australianmuseum.net.au/が新しくなりました。


このサイトを構築したグループは、これまで博物館で行われてきたビジター調査などに基づき、ビジターは自分たちの博物館体験をコントロールしたいという要求が高まっている、という調査結果を得ており、ビジターが博物館に能動的に関わるということを実現するためのテクノロジーとして、Web技術を利用し、ウェブサイトを実現したそうです。経緯はこちらに書かれています。
WestMuse Web 2.0 and organisational change: the Australian Museum’s new website


新しい知識や体験を提供しようという試みは、オンラインデータベースやバーチャルミュージアムで行われてきたことです。しかし、今回のオーストラリア博物館の例が違うところは、オフィシャルサイトでビジターの参加を認めているところでしょう。


では、実際には何ができるのでしょうか。ワクワク。


博物館のサイトに行くと、My Museum に Sign Up できるようになっています。登録をすると、ビジターは自分のページを持つことができます。サイト上にある様々な情報(記事)に対して、自分のタグをつけたり、お気に入りに登録したり、コメントをつけることができます。他の人の書いた公開コメントやタグを見ることも可能です。記事に対して、ビデオもアップロードできるようです。





え、たったそれだけ?



と、普段ウェブサービスに親しんでいる我々は思うかもしれません。しかし、博物館は、博物館が発信する情報に責任を持っています。ですから、そこに一般の人達からコメントがついたり、勝手なタグをつけられるということは、博物館としては、より一層責任の範囲を広げることになり、労力がかかります。コメントやタグに不適切なものがないかチェックして、人力でコントロールするしかありません。


頻繁に更新されるリッチなコンテンツを、パーソナルなレベルで提供することを目的とした本サイトは、そういった人力チェックなどの運用も含めたデザインがなされているようです。たとえば、博物館スタッフや学芸員はブログを投稿する感覚で記事が書けるので、簡単に更新ができるとのこと。さらに、業務として、これまで別のことに使っていた約20%の労働時間をこの仕事に使うことができるそうです。


オーストラリア博物館のウェブサイトは、今後の展開が楽しみですね。


きっと彼らも考えていることだと思いますが、たとえば、セミプロビジターが、自分がおすすめする展示物のコースを作ったり、新しい切り口での展示物の見方を提案することができます。


さらに、実際見学しているときに、このウェブサイトに掲載さている情報がのった、モバイル(携帯端末)を持てば、マイコースで巡れたり、展示物を巡りながら、他人のコメントを読んだりと、博物館の楽しみ方に幅がでると思います。


ひとつひとつの博物館で、こういうMyPageを持つのって、個人とすれば若干面倒です。

こういった博物館単体での試みだけでなく、博物館同士のネットワークができて、ミュージアム同士のネットワークになっていくと、A博物館で見たコレとB博物館のコレで、同じタグ同士で巡ってみるほうが面白そうです。



タグで、いろんな博物館をネットワーク化してオンラインで閲覧したり巡ったりということは、実現したいテーマです。
ようやくWebが浸透して、日常的にタグをつけたり、RSSしたりする時代が来ているわけですので・・・ユーザーにある程度まかせた形で実現できる時代になってきたと感じています。





画面クリップ:MyPageをつくるとタグ機能が現れます。記事にタグをつけたりお気に入りに登録したり。


京都ユビキタス特区事業 映画村ガイドシステムの実証実験


■前記「映画村ガイドシステムのデザイン」の実証実験です。

  • 実証実験

実証実験は2月に行われ、英語圏50名、中国語10名、韓国語10名の方に被験者となって体験してもらいました。

前回のCHI2009の報告でも書きましたが、「みんぱくナビ」の経験から、グループはミュージアムでコラボレーションやコミュニケーションをしたがる、という事実をふまえて、ひとつのグループ約3名に、GPS付きガイド端末1台と、紙の地図、Q&A端末をもってグループ行動してもらいました。

外国人観光客へのサービス向上のため、様々な観点からアンケートをとりました。



  • 関心事

ミュージアムメディア開発Tとしては、今回の実験で特に関心を寄せていたのは・・・

関心1: 紙に勝つことができるのか?! (笑)
我々モバイルサービス提供者からすると、なかなか勝てない脅威の紙の地図・・・。「これなら紙のパンフレットでよかった」と言われると、我々の負けです。紙の地図をあえて持って貰い、どちらがよかったか聞いてみます。
関心2: アンビエントガイドの提案
ガイドというと、情報を見ろ見ろ、という押しつけがましいデザインのものが多い中、今回デザインしたのは、普段は「無」に近く見なくても良いガイドでした。ビジターが、情報がほしいと思ったときだけビジターが働きかけるものです。PUSH型で、ビジターの意志にかかわらず、どんどん情報が出てくると、端末の世界の中だけで体験が完結してしまいがちです。実際のものを見る体験や、テーマパークでのリラックスした体験など、そもそもの目的を阻害することがあります。というわけで、ガイドは必要のないときは「無」な存在になれるか、尾行調査です。


  • 結果

さて、気になる外国人の方の反応はどうだったのでしょうか?
まず全体の印象としては・・・好反応でした。

helpful
made the experience different in a better way.
it's really good to know what's in front of you.
cool design

英・中・韓のユーザさんに、フツーに便利と思ってもらえたようです。


そして、気になる、関心1ですが
な、なんと・・・

It was better than the paper map 70%

アンケートの結果70%以上の人が紙の地図よりも便利だったと答えてくれました。


さらに関心2についても、被験者を尾行調査していたところ、こちらの考えていたような、何気ない利用方法をしてくれていました。


そして、グループ内でのコラボレーションも生まれました。
ナビゲーションする人、コンテンツを読んだりする人、スケジュールを気にする人、
Q&Aをひたすら打ち込んでいる人、紙の地図を見る人・・・グループのなかでいろんな役割がありました。


今後も京都に来る外国人の皆さんに使っていただけるよう、このデザインを、さらに進化させていきたいと考えています。


  • 余談

今回の実験準備のため、深夜の映画村にて作業をしていたのですが、屋外での作業中に、時代劇の撮影に度々遭遇しました。
D4を持って作業中の私の背後を、馬に乗ったお侍が、パッカパッカパッカ。江戸時代と現代のスーパーコラボで、本当に楽しい現場でした。


ユビキタス特区実証実験は、現在は行われておりません。ミュージアムメディアfor映画村に関心のある方はご連絡ください。

京都ユビキタス特区事業 映画村ガイドシステムのデザイン

去る2009年2月に、東映太秦映画村ユビキタス特区事業の実証実験が行われました。我々ミュージアムメディア開発Tも、モバイル端末のインターフェースデザインや実証実験の運営に携わりましたので、ここでは2008年度のガイドシステムの成果部分を少しご紹介します。

京都太秦映画村を舞台とした、携帯端末を利用した観光立国事業です。2008年度は、音声翻訳・多言語Q&A・ミュージアムメディアガイドシステムから成る、外国人向けモバイルサービスやマーケティング調査の実証実験を行いました。

端末はWILLCOM D4です。同じ端末で音声翻訳も動く必要があったので、Windows環境が必須でした。少し重い端末ですが、画面サイズもゆったりしていて、タッチパネルが使えるのがメリットです。


オンラインガイドシステム、ミュージアムメディアを映画村向けにカスタマイズした、映画村ガイドシステムの実証実験も、同じくユビキタス特区事業のなかで行われました。外国人向けのサービス実験として、英語、韓国語、中国語のコンテンツを、映画村で準備していただきました。忍者ショーのビデオコンテンツなど短い映像も用意してくださって、さすが映画村です。

  • インターフェースデザイン

今回は、赤塚大典さんとのコラボデザインでしたが、直感的に操作できることを目的として、色々あったアイディアを、できるだけシンプルな形におとしこみ、地図・コンテンツ・スケジュールを、スイスイいったりきたりできる、インターフェースをつくりました。情報端末というと、ツリー構造のものが多いですが、今回はツリーまったくなしで何でも見えている状態です。


地図パネルでは、自分の現在位置を表示し、今自分の目の前にある建物をクリックできるようにしました。
クリックされた建物の解説は、コンテンツパネルに表示され、写真と解説を読むことができます。
スケジュールパネルでは、ショウの時間を確認してクリックすることができます。
コンテンツパネルに、ショウの動画が流れるので、それに行きたい場合は、
地図パネルで位置を確認して向かう・・という風に、
場所・時間・コンテンツをいつも表示しておくインターフェースです。



■映画村ガイドシステムの実証実験に続く。