京都ユビキタス特区事業 映画村ガイドシステムの実証実験


■前記「映画村ガイドシステムのデザイン」の実証実験です。

  • 実証実験

実証実験は2月に行われ、英語圏50名、中国語10名、韓国語10名の方に被験者となって体験してもらいました。

前回のCHI2009の報告でも書きましたが、「みんぱくナビ」の経験から、グループはミュージアムでコラボレーションやコミュニケーションをしたがる、という事実をふまえて、ひとつのグループ約3名に、GPS付きガイド端末1台と、紙の地図、Q&A端末をもってグループ行動してもらいました。

外国人観光客へのサービス向上のため、様々な観点からアンケートをとりました。



  • 関心事

ミュージアムメディア開発Tとしては、今回の実験で特に関心を寄せていたのは・・・

関心1: 紙に勝つことができるのか?! (笑)
我々モバイルサービス提供者からすると、なかなか勝てない脅威の紙の地図・・・。「これなら紙のパンフレットでよかった」と言われると、我々の負けです。紙の地図をあえて持って貰い、どちらがよかったか聞いてみます。
関心2: アンビエントガイドの提案
ガイドというと、情報を見ろ見ろ、という押しつけがましいデザインのものが多い中、今回デザインしたのは、普段は「無」に近く見なくても良いガイドでした。ビジターが、情報がほしいと思ったときだけビジターが働きかけるものです。PUSH型で、ビジターの意志にかかわらず、どんどん情報が出てくると、端末の世界の中だけで体験が完結してしまいがちです。実際のものを見る体験や、テーマパークでのリラックスした体験など、そもそもの目的を阻害することがあります。というわけで、ガイドは必要のないときは「無」な存在になれるか、尾行調査です。


  • 結果

さて、気になる外国人の方の反応はどうだったのでしょうか?
まず全体の印象としては・・・好反応でした。

helpful
made the experience different in a better way.
it's really good to know what's in front of you.
cool design

英・中・韓のユーザさんに、フツーに便利と思ってもらえたようです。


そして、気になる、関心1ですが
な、なんと・・・

It was better than the paper map 70%

アンケートの結果70%以上の人が紙の地図よりも便利だったと答えてくれました。


さらに関心2についても、被験者を尾行調査していたところ、こちらの考えていたような、何気ない利用方法をしてくれていました。


そして、グループ内でのコラボレーションも生まれました。
ナビゲーションする人、コンテンツを読んだりする人、スケジュールを気にする人、
Q&Aをひたすら打ち込んでいる人、紙の地図を見る人・・・グループのなかでいろんな役割がありました。


今後も京都に来る外国人の皆さんに使っていただけるよう、このデザインを、さらに進化させていきたいと考えています。


  • 余談

今回の実験準備のため、深夜の映画村にて作業をしていたのですが、屋外での作業中に、時代劇の撮影に度々遭遇しました。
D4を持って作業中の私の背後を、馬に乗ったお侍が、パッカパッカパッカ。江戸時代と現代のスーパーコラボで、本当に楽しい現場でした。


ユビキタス特区実証実験は、現在は行われておりません。ミュージアムメディアfor映画村に関心のある方はご連絡ください。